「デッキプレート割付図」の役割と適切な取り扱いに関する周知活動について
合成スラブ工業会 技術広報委員会
フラットデッキ工業会 実務委員会
合成スラブ工業会およびフラットデッキ工業会は、デッキプレートを用いた床工法の施工品 質向上の観点から、「デッキプレート割付図」の役割と適切な取り扱いに関して、需要家の皆様の理解を深めてもらいたく改めて下記内容をお伝えしていきます。
記
合成スラブ工業会並びにフラットデッキ工業会は,デッキプレートの健全な設計・施工を目 的として、マニュアルや指針を整備しております。また、施工にあたっての品質を確保いただくため,施工の手順や標準納まりを図示した「設計施工標準図」を各社ご用意しております。
デッキプレートは床コンクリートを打設するための型枠材としても機能し、その施工に際し てはデッキプレートの種類・長さ・枚数、更に敷込み方向等を間違わないようにするため、多くの場合で割付図を必要とします。
割付図は施工図として、請負業者(建設業者)との契約に基づき、原則としてデッキプレー ト施工者が作成するものです。しかしながら、割付図は材料手配図および発注契約書としての役割を担う場合もあり、そのため特に近年ではデッキプレートメーカーが作図の代行を行う場合が多くなっております。
このような場合、現場監理者,又はデッキプレート施工者からの依頼によりデッキプレート 割付図を作成した後,建築現場でのレイアウト変更や設備配置の見直し等による梁位置の変更(デッキプレート支持スパン変更)で作図の修正を要求されることがあります。それだけでなく,デッキプレート以外の周辺の納まりについても作図を要望される場合があります。
また、設計が未確定な部分においても施工者からの指示により作図を要求されるケースがあり、ほとんどの場合,修正作業が発生します。仕上げた図面はデッキプレート施工者へ提出し、内容を確認の上承認を得る必要がありますが、確認または承認行為が行われる前に施工が進行する場合も少なからずあり、図面のミスや変更箇所の見落としが懸念されています。このような状況の中,割付図の役割に関する認識不足や、施工業者等の代行で作図した割付図に対する責任の所在が不明確になっている状態です。
デッキプレートの割付図は、デッキプレートの敷き込み時の品質と安全を確保する上で、「施工図」としての役割も果たします。この点で、割付け図は,デッキプレート施工者の責任おいて作成され、最終確認がなされる必要があります。
特に,フラットデッキのような単スパンで使用される場合や,梁・型枠への掛かり代,段差部の処理などは注意する必要があります。
合成スラブ用デッキプレートは、コンクリート硬化後は合成スラブ特有の性能であるデッキプレートとコンクリートが一体化し応力に抵抗する合成構造の建築構造材として機能するため、施工時の構造安全性の確保だけでなく、コンクリート硬化後の荷重を支持する床材としての安全性の確保が必要となります。フラットデッキに関しては,脱型しない永久型枠となる為,自重に対しての検討など構造安全性の面から、施工管理者や設計監理者の承認を得る必要があります。
また,段差がある場合などでかさ上げ材や受け材を設ける場合や特別な納まりとなる場合には,かさ上げ材や受け材の位置や寸法,納まりの詳細など設計監理者から指示を得た上で作成し、監督者の承認を得るのが望ましく,これにより作図ミスの防止や責任の所在の明確化が出来ます。
これらデッキプレート割付図に関する役割と作図内容に関する責任の所在を適切に認識い ただくために、両工業会ともホームページの「Q&A」に割付図の役割と作図に必要な項目について掲載しております。工業会では、工法の普及やデッキプレートの品質確保とともに、施工に関する品質や安全性の確保も必要と考え、この役割を適切にご対応いただけるよう働きかけて行きたいと考えています。
以上